確定申告で使用した領収書の保管期間を個人事業主向けに解説!青色、白色などでも異なる保管期間

1年間の所得に対する納税額を、自ら計算して申告する確定申告。個人事業主として働く人にとって、一定の所得があれば毎年必ずやらなければならない手続きのひとつです。正確に納税額を計算するためには必要経費の算出もしなければなりませんが、経費を算出した後の領収書はいつまで保管しておけば良いのでしょうか?一般企業と違って、個人事業主の場合は保管のためのスペースにも余裕があるわけではありません。今回は確定申告で使用した領収書の保管期間について、青色申告と白色申告に分けて解説していきます。

確定申告で提出した領収書は5〜7年の保管が必要!

確定申告とは、1年間の所得(売上から必要経費を差し引いて算出した利益)を計算し、国に納めるべき税金を報告する手続きを言います。確定申告は1年に一回行う必要があり、前年(1月1日〜12月31日)の所得と納めるべき税金の額を、毎年2月16日~3月15日に税務署に申告します。
※期限の日が土日や祝日の場合、休日が明けた次の平日が期限となります

確定申告が必要な人とは、以下のような人を言います。

自営業者やフリーランスなどの個人事業主

会社などの法人組織に属していない自営業者やフリーランスの場合には、その事業所得について税額を申告する必要があります。基礎控除や医療費控除、その他の必要経費を売上から除いた額が所得となりますので確定申告を行いましょう。

公的年金を受け取っている人

公的年金を受け取っている場合、年金の源泉徴収が行われていれば確定申告の必要はありません。ただし源泉徴収が行われている場合でも、年間400万円以上年金収入がある場合には申告が必要となります。

不動産収入や投資などでの所得のあった人

家や土地を賃貸したことによる不動産所得がある人、また株取引や各種投資などにかかわる利益が48万円以上ある人は確定申告が必要になります。ただし「NISA」や「つみたてNISA」など、非課税投資枠内での投資益は除きます。

一時所得があった人

競馬や競輪などの公営ギャンブルで得た払戻金や、懸賞等で当たった賞金は一時所得となります。このような所得も、これらを得るために支出した金額と特別控除額(最高50万円)より多ければ、確定申告が必要になります。

退職所得や年末調整を行っていない給与所得があった場合など

「退職所得の受給に関する申告書」を提出しないで退職所得(一般に言う退職金)を得た場合や、年度の途中で退職して年末調整を行っていない場合、給与以外の所得が20万円を超える場合も、確定申告を行う必要があります。

上記のような確定申告を期限までに行わなかった場合には、以下のような罰則が科せられます。確定申告をしなければならない所得があった場合には、必ず期限内に確定申告を行いましょう。

  • 本来納めるべき税金に最高20%の無申告加算税が追加される
  • 本来納めるべき税金に最高14.6%の延滞税が追加される
  • 青色申告(後述)特別控除の枠が、最大65万円から最大10万円に減額される
  • 2年連続して申告が遅れた場合、青色申告の承認取り消し

確定申告を速やかに、また正確に行うためには所得を算出するための領収書が必要になります。これらの書類は原則として5年から7年の保管が必要です。次章では、青色申告と白色申告の保管期間の違いについて説明していきます。

個人事業主の領収書保管期間は青色、白色申告で異なる

個人事業主が領収書を保管する期間は、青色申告(あおいろしんこく)か白色申告(しろいろしんこく)かで異なります。青色申告と白色申告の一番の違いは、会計帳簿に対する考え方の違いです。会計帳簿について、白色申告は簡易的なものでかまいませんが、青色申告にはより厳格なものが求められます。また青色申告には税制的ないくつかのメリットが与えられていますが、白色申告には青色申告にあるようなメリットがほぼありません。青色申告は、所轄の税務署に「開業届」及び「青色申告承認申請書」を法定期限内に提出した事業主が利用できる申告方法です。青色申告には、以下のようなメリットが与えられています。

  • 最大65万円の青色申告特別控除
  • 最大3年の事業損失(赤字)の繰り越し
  • 減価償却の特例が使用可能
  • 貸倒引当金の計上可能
  • 青色事業専従者給与を経費計上可能

青色申告と白色申告の一番の違いは、会計帳簿に対する考え方の違いと書きましたが領収書の取り扱いについては、その厳格さに差はありません。青色申告であろうと白色申告であろうと、領収書は決められた期間しっかりと保管しておかなければなりません。

青色申告:保管期間は原則7年

青色申告の場合、領収書は現金預金取引等関係書類(領収証、小切手控、預金通帳、借用証など)に分類され、原則7年間保管することが義務付けられています(ただし前々年分所得が300万円以下の場合は5年)。他にも青色申告では、以下のような期間、帳簿と書類の保管が必要になっています。

  • 帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など)  7年
  • 決算関係書類(損益計算書、貸借対照表、棚卸表など) 7年
  • その他、取引に関して作成し、又は受領した書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) 5年

白色申告:保管期間は原則5年

白色申告の帳簿や書類を保管する期間は原則5年となっています(ただし法定帳簿は例外)領収書については原則5年の保管が必要です。

  • 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿)  7年
  • 業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿)  5年
  • 決算に関して作成した棚卸表その他の書類  5年
  • 業務に関して作成し、又は受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類  5年

青色申告で赤字の場合は例外も

先述のように青色申告で事業が赤字の場合、個人事業主でも3年間、事業損失(赤字)を繰り越すことができます。つまり3年間にわたって黒字と赤字を相殺することができるため、納税額の負担を軽減することが可能なのです(注1)。そのため、領収書の保管期間は3年間の繰越期間を加味して保管しておく必要があります。青色申告で事業が赤字の場合、このような点に注意して書類の保管を進めていきましょう。

注1:中小企業に該当する場合は100%控除できますが、そうでない法人の場合、控除には上限のある場合がありますので国税庁のホームページなどでご確認下さい。

まとめ

確定申告には必ず必要となる領収書ですが、青色申告と白色申告では保管期間が違います。またいくつかの例外もあるので、事業規模が小さい場合や赤字の場合には保管期間を確認しておきましょう。いざ税務調査となったときに慌てることのないように、領収書や確定申告に必要な書類はしっかり保管しておくことが大切です。

当記事は2023年3月10日時点での情報をもとに執筆しています。

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